すみれブログ
取り敢えず出願しておくことが大事!
2023年11月29日

自営業者やこれから起業しようとする人たちは独自のアイデアが他人に真似されないように予めプロテクトしておくことが重要です。

 

そのアイデアが技術的なものであれば特許権、デザイン的な商品の外観であれば意匠権、キャッチーなネーミングやロゴであれば商標権、文化的な作品であれば著作権で保護することが可能です。

 

ここで著作権を除き、特許権や意匠権、商標権による保護を求める場合はそれぞれ国に対して所定の手続きが必要です。これらの知的財産権の付与に関する官庁は経産省の外郭団体である特許庁ですので特許庁に対して所定の書式に従って出願手続きをする必要があります。

 

この出願手続きは本人が行うのが原則ですが、法律の知識がないとかなり難しいので通常は専門家である弁理士や弁護士に依頼するのが殆どです。そのため相応の費用が必要となってきます。

 

また、出願後には審査がありますので当然のことながらこの審査の段階で拒絶されて権利が取得できないこともあります。さらに権利を取得できたとしてもそれ行為自体には費用が係るだけで一切お金を生みません。

 

そのため、資金に余裕がない自営業者や起業家は、躊躇して出願手続きを先延ばしにしたり、取りやめてしまい、後で後悔するケースが多く見られます。

 

そのため、事業を行う上で必要なアイデアは多少無理をしてでも特許出願や意匠登録出願のように何らかのプロテクト行為をしておくことが肝要です。

 

ここで、特許出願や意匠登録出願のようにお金をかけて手続きしても審査にパスしなければ無駄になるんじゃないかと考える人もいますがそうではありません。

 

誤解をおそれずにいうと審査にパスするか否かはどうでもいいのです。それよりも出願をしている=自分の権利を保護するためのプロテクト行為をしているという事実が大事なのです。

 

「無断駐車した場合は罰金1万円申し受けます」という看板を街中でときどき見かけますが、これには法律的な根拠も効果もありません。それよりもその看板の文言から無断駐車は絶対に許さないというその土地の所有者の強い意志が感じ取れます。

 

そのためそれを見た人の多くは面倒なことになりそうだからその場所に駐車するのはやめようと思うでしょう。それによって法律的な根拠も効果もないにもかかわらず、実質的に無断駐車を無くす効果が得られます。

 

特許出願や意匠登録出願の場合も同じです。出願しただけではまだ何も権利が発生していませんが、出願したという行為は事実ですからそれを堂々とアピールすることができます。

 

ですので例えばウェブサイトの製品ページやカタログに「特許出願済み」などと記述すれば、それをみた同業者はその商品が売れると思っても後々面倒なことになるのを避けて安易に真似するようなことはないでしょう。

 

そうなると実際に権利を取得していなくともその時点で実質的に目的(独占)を達成したことになります。

 

数多くの特許裁判例をみても始めから他人のアイデアを模倣して実施した結果争いになったというケースよりも、そもそもオリジナルのアイデア乃至公知の技術と信じて善意で実施していたところ権利者と名乗る相手から訴訟を起こされ、仕方なく応訴しているというケースが殆どです。

 

ですのでビジネスに役立ちそうな新しいアイデアが沸いてきたならば取り敢えず出願しておくという行為が重要なのです。

 

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商標話し(5)キャッチフレーズの商標登録
2023年03月28日

いいキャッチフレーズを思いついたのでこれを商標登録して我が社で独占したいというご相談を受けることがあります。

結論からいうとキャッチフレーズ(顧客の心をつかむように工夫された謳い文句やスローガン)や標語は、原則として商標登録出願しても登録を受けることはできません。こういったキャッチフレーズや標語は一般に自他商品・役務の識別性に乏しいから、つまり一個人や一企業に独占させるべきでないからというのがその主な理由です。

 

過去に例外的に登録が認められた例も以下のように極く僅かです。

 

登録された例
がんばれ!ニッポン!」(登録第4470504号:公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC))
自然と健康を科学する」(登録第5332245号:株式会社ツムラ)
プライスレス」(登録5575672号:マスターカードインターナシヨナルインコーポレイテツド)
Leading Innovation」(登録第5091483号:株式会社東芝)
元気ハツラツ」(商標第4882442号:大塚製薬株式会社)
Inspire The Next」(商標第4574995号:株式会社日立製作所)
The Power of Dreams」(商標第4599911号:本田技研工業株式会社)
お口の恋人」(登録5204707号:株式会社ロッテホールディングス)
されど鰹節 この道一筋」登録4922698号:株式会社丸藤

 

拒絶された例
「ペーパークラフトはじめましょう」
「PLAY BETTER,PLAY FASTER,AND HAVE MORE FUN 」
「おいしく食べて、お元気に。」
「お金の健康」
「強く、優しく。」
「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」
「パールブリッジを渡ってきました」
「明石・鳴門のかけ橋にあすの日本の夢がある」
「BECAUSE YOU LOVE NICE THINGS」
「新しいタイプの居酒屋」

 

しかし、最近(といっても2016年ですが…)、商標審査基準の改定により判断基準が緩和されてキャッチフレーズも商標登録が可能となっています。その前年の2015年には日本でも諸外国に遅ればせながら音の商標や色彩の商標などの登録が認められるようになりましたのでその基準の緩和もその流れによるものだと思われます。

 

ただし、当然のことながら商標としての識別力や他人の商標との関係はいままでとおり厳格に審査されますのでなんでも登録になるとは限りません。

 

どのようなものが登録されて何が拒絶されるのかはケースバイケースですが、例えば造語や企業名などが入っている標語、さらに図形や特殊な書体、色の組み合わせにすれば登録の可能性がぐっと高くなるでしょう。以下にいくつか登録例を挙げますのでよいキャッチフレーズを思いついたら是非とも商標登録出願をしてみてはいかがでしょうか。

 

登録例
あなたと、コンビに、ファミリーマート」(登録4904063号:株式会社ファミリーマート)
ココロも満タンに」(登録第5896748号:コスモエネルギーホールディングス株式会社)

コーヒーギフトはAGF」(登録第4598048号:味の素株式会社)
マチのほっとステーション」(登録第4875233号:株式会社ローソン)
水と生きる」(登録第4884535号:サントリーホールディングス株式会社)
Eat Well,Live Well.」(登録第5956953号:味の素株式会社)

 

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女子高生が特許を取って製品化
2022年08月29日

個人発明家が特許をとったもののそれを実際に製品化したりライセンスして収益化するのはなかなかハードルが高いです。

 
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商標話し(3)チキンラーメン
2022年04月5日

最近、日清食品ホールディングスが販売する即席麺「チキンラーメン」のパッケージの配色が商標登録されたようです(商標登録第6534071号)。

 

ふ~ん、なにそれおいしいの?じゃなくて、それがどうしたの?っていう反応が聞こえてきそうですが、実はこういった種類の商標の登録が認められるのは結構珍しいケースなのです。

 

今回登録が認められた商標がこれです。

 
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新規参入メーカーの成功例(2)-水平開きノート-
2022年03月29日

2.水平開きノート(有限会社中村印刷所)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有限会社中村印刷所ホームページより引用

 

誰でも使ったことがある一般的なノートは、開いたときにノートの真ん中の閉じてある部分が盛り上がってしまいます。この現象については、「まぁ、こんなもんだろう」と考えるか、そもそも当たり前すぎてその現象自体に気がつかない人が殆どだろうと思います。

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