すみれブログ
商標話し(5)キャッチフレーズの商標登録
2023年03月28日

いいキャッチフレーズを思いついたのでこれを商標登録して我が社で独占したいというご相談を受けることがあります。

 

結論からいうとキャッチフレーズ(顧客の心をつかむように工夫された謳い文句やスローガン)や標語は、原則として商標登録出願しても登録を受けることはできません。こういったキャッチフレーズや標語は一般に自他商品・役務の識別性に乏しいから、つまり一個人や一企業に独占させるべきでないからというのがその主な理由です。

 

過去に例外的に登録が認められた例も以下のように極く僅かです。

 

登録された例
がんばれ!ニッポン!」(登録第4470504号:公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC))
自然と健康を科学する」(登録第5332245号:株式会社ツムラ)
プライスレス」(登録5575672号:マスターカードインターナシヨナルインコーポレイテツド)
Leading Innovation」(登録第5091483号:株式会社東芝)
元気ハツラツ」(商標第4882442号:大塚製薬株式会社)
Inspire The Next」(商標第4574995号:株式会社日立製作所)
The Power of Dreams」(商標第4599911号:本田技研工業株式会社)
お口の恋人」(登録5204707号:株式会社ロッテホールディングス)
されど鰹節 この道一筋」登録4922698号:株式会社丸藤

 

拒絶された例
「ペーパークラフトはじめましょう」
「PLAY BETTER,PLAY FASTER,AND HAVE MORE FUN 」
「おいしく食べて、お元気に。」
「お金の健康」
「強く、優しく。」
「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」
「パールブリッジを渡ってきました」
「明石・鳴門のかけ橋にあすの日本の夢がある」
「BECAUSE YOU LOVE NICE THINGS」
「新しいタイプの居酒屋」

 

しかし、最近(といっても2016年ですが…)、商標審査基準の改定により判断基準が緩和されてキャッチフレーズも商標登録が可能となっています。その前年の2015年には日本でも諸外国に遅ればせながら音の商標や色彩の商標などの登録が認められるようになりましたのでその基準の緩和もその流れによるものだと思われます。

 

ただし、当然のことながら商標としての識別力や他人の商標との関係はいままでとおり厳格に審査されますのでなんでも登録になるとは限りません。

 

どのようなものが登録されて何が拒絶されるのかはケースバイケースですが、例えば造語や企業名などが入っている標語、さらに図形や特殊な書体、色の組み合わせにすれば登録の可能性がぐっと高くなるでしょう。以下にいくつか登録例を挙げますのでよいキャッチフレーズを思いついたら是非とも商標登録出願をしてみてはいかがでしょうか。

 

登録例
あなたと、コンビに、ファミリーマート」(登録4904063号:株式会社ファミリーマート)
ココロも満タンに」(登録第5896748号:コスモエネルギーホールディングス株式会社)

コーヒーギフトはAGF」(登録第4598048号:味の素株式会社)
マチのほっとステーション」(登録第4875233号:株式会社ローソン)
水と生きる」(登録第4884535号:サントリーホールディングス株式会社)
Eat Well,Live Well.」(登録第5956953号:味の素株式会社)

 

にほんブログ村 経営ブログ 経営者へ