すみれブログ
特許の値段
2024年02月7日

特許権は知的財産権と言われるように財産権の1つですから、それを他人に譲渡して換金することができます。

 

では、その値段(譲渡金額)は平均でいくらくらいでしょうか。特許庁が公表した2023年のデータによると……、といいたいところですが、残念ながら特許庁はそのようなデータは公表しておりません。

 

でも、特許権の譲渡は登録人の名義変更という手続きによって比較的頻繁に行われていることから、無償というのは考え難く有償が殆どだろうと推測されます。弊所でも年に1,2件程度、特許権の移転手続きを行っていますが、相続を除き有償のケースが殆どです。

 

で、その譲渡金額ですが、特許権の適正な価値、価格を決定するのはとても難しいです。巷には様々な価値評価手法があるようですが、それで算出された価格が適正なのかどうか議論が分かれるところです。

 

というのも土地や建物のような不動産や中古車などであれば周辺地域や車種ごとの相場という基準がありますが、特許権にはそのような相場というものがないのです。

 

しかも、特許権は発明という技術的思想であって実体がない上にいつかは消えて無くなってしまう実に儚い権利です。その命は最大でも出願から20年、医薬品のような特殊なものでも25年です。土地のような不動産であれば日本が沈没しない限り未来永劫残りますが特許権はそうではありません。

 

加えて、その権利の内容である発明の内容も既に製品化されてその業界では他社の追随を許さないような強力なものから、現在又は将来に亘ってまったく実施される可能性がない殆ど無価値のものまでまさに玉石混交です。

 

これはある意味骨董品に似ており、値段が付けられない国宝級のものから殆どガラクタ同然のものまであるから一概にはいえない、と当職もクライアントから質問されたときにお茶を濁すような回答をしています。何億円積んでも譲って貰えないものがある一方、ただ同然でも引き取ってもらえないものまでその価値は実に様々です。

 

とはいっても、それでは回答にならないのでとりあえず譲渡価格の1つの指標として、その特許を取得して現在までかかった総費用を算出し、その費用を基準として考慮しては如何でしょうかというアドバイスをしています。

 

特許は取得する段階だけでなく、取得後も特許料という名目の固定資産税が毎年係りますので、例えば特許取得までに係った費用が70万円、その後に支払った特許料が30万円であったとすると、合計100万円を基準とし、これにそのときの状況に応じて+αまたは-αすればよいのです。

 

これは特許権だけでなく商標権や意匠権、著作権も同じですので実体のない知的財産権の譲渡金額を決めるための指標としては当事者が最も納得しやすいとても便利なものです。

 

にほんブログ村 経営ブログ 経営者へ

審査請求はいつがいいの?
2021年12月16日

出願審査請求の手続きを何時するかは、簡単なようで実は結構難しい問題です。結論からいえば、審査請求手続きはできるだけ遅い方がよいというのが当職の考えです。以下にその理由を述べます。

続きを読む

商標話し(1)iPhoneとアイホン
2021年11月18日

商標に関わる仕事をしていると面白いケースが見つかります。専門的すぎるとわかりにくいので有名なケースをいくつか上げてみましょう。

 
続きを読む

従業員の発明は誰のもの?
2020年09月16日

職務発明制度がわかりにくいとのご指摘がありましたので以下できるだけわかりやすく説明します。

 

続きを読む

リースの支払いが終了
2019年06月28日

今月の銀行口座の入出金を確認すると、ちょっと違和感があった。

 
続きを読む