すみれブログ
小保方特許(STAP細胞)のその後
2014年10月26日

昨日はやたらとこの記事へのアクセスが多いなぁと思っていたら、こんな新聞発表があったのですね。

 

STAP細胞に関する国際出願について理化学研究所が各国移行手続きを行ったとのこと。そういえば、昨日が日本での国内移行手続き期限だったのですね。

 

このSTAP細胞についてはご存じの通りその後その信憑性を巡っていろいろマスコミで騒がれていますが、特許の取得手続きは期限は決まっていますので、関係者にしてみれば権利取得断念の決定がない以上、当然の行為といえます。具体的な移行国は発表されてないようですが、少なくとも日本、米国、欧州、中国、韓国あたりは抑えていると思います。

 

ちなみに特許を取得する段階での各種の手続き期限は非常に厳しくて一日でも遅れると受け付けてくれません。たとえば審査請求手続きは出願日から3年以内にしなければなりませんが、この期限を1日でも遅れると特許庁は手続きを受け付けてくれないのです。1日くらい遅れても誰にも迷惑かからないからいいんじゃないの、と言いたくなるかもしれませんがダメです。

 

また、特許査定や登録査定が出た場合は、その日から30日以内に特許料又は登録料を払わなければなりませんが、これをうっかり忘れてしまうとそれまでの努力がすべてパーになります。実際その例を何度もみてきた私がいうのだから間違いありません(幸いなことに弊所では皆無ですが…)。

 

さて、本件は少なくとも日本には国内移行していると思いますが、今後の日本での手続きの流れはどうかというと、以下のようなスケジュールで処理されることになります。外国の場合もだいたい同じような流れです。

 

我が国に関して言えば、この国内移行手続き自体はとても簡単で、国際出願番号や出願人などの書誌的事項を書いた書面と費用(1万5千円)を特許庁に提出するだけです。ただし、外国語の場合は日本語の翻訳文を提出しなければなりませんのでその手間はかかります。

 

この日本語の翻訳文は公表公報として国内移行期限後に特許庁で公開されますので誰でもみることができます。

 

そして日本や中国などの場合は国内移行手続きをしただけでは特許の審査をして貰えませんので、その後審査請求手続きを行う必要があります。

 

審査請求手続きは国際出願の場合では国際出願日から3年以内です。本件の場合は国際出願日が2013年4月24日ですから遅くとも2016年4月24日までにはこの手続きをする必要があります。

 

審査請求をするとその日から約1年~2年後に最初の審査結果が届きます。審査の結果、拒絶の理由がなければいきなり特許査定となりますが、殆どはまず拒絶理由通知というNGの返事が来ます。

 

そしてこの拒絶理由通知に納得できなければ意見書・補正書を提出して反論できます。その主張が認められれば特許査定となり、認められなければ再度の拒絶理由通知または拒絶査定となります。

 

特許査定になった場合は、その後特許料を支払うことで特許権が発生します。特許の存続期間は国際出願日から最大で20年です。ちなみに医薬品の場合は最大で25年まで延長可能ですが本件の場合は原則通り20年です。

 

一方、拒絶査定に不服の場合は、審判を請求することができます。この審判で拒絶審決になった場合には、知財高裁に審決取消訴訟という行政訴訟を起こして争うことができます。さらにこの知財高裁の判決に不服があれば最高裁に上告することも可能です。

 

この特許に関してはこれからも大いに注目されるでしょうから関係者はいろいろ大変だと思います。特に担当した審査官は大変だと思いますが、当然のことながら他の出願と同様に審査基準に沿って粛々と処理されることでしょう。

 

 

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