すみれブログ
北朝鮮と特許制度
2012年04月14日

今、何かと話題の北朝鮮

13日には、「人工衛星の打ち上げ」と称して発射したミサイルが発射1分後に上空120km付近で爆発して海の藻屑と消えました。この打ち上げにかかった費用は北朝鮮全国民の1年分の食料費に相当するんだそうです。

さて、北朝鮮にも特許制度があり、発明庁と称する特許を取り扱う部署も存在しています。また、北朝鮮は工業所有権の国際的保護条約であるパリ条約の締約国であるだけでなく、30年以上も前から特許協力条約(PCT)の加盟国にもなっています。そのため、外国人が北朝鮮で特許を取得することも、また、北朝鮮国民が外国で特許を取得することも可能です

しかし、日本では北朝鮮国民への特許を認めていません。我が国は北朝鮮を国家承認しておらず、日本と北朝鮮との間には国際法上の主体である国家間の関係は存在しないとの立場をとっているからです。

昨年、特許庁は北朝鮮に居住する北朝鮮国籍を有する者が行った国際特許出願について日本における権利を譲り受けた者の手続きに対して却下処分としました。この取消しを求める裁判でも東京地裁は「本件手続却下処分は,その取消しの理由となる違法事由があるとは認められず,適法であると認められる」として原告の請求を棄却しています

一方、我が国国民が北朝鮮で特許を取ることは可能でしょうか。そもそも現体制下の北朝鮮で特許を取る意味があるかどうかはともかく、仮に日本国民が出願してもほぼ100%認められないでしょう。

この記事によると北朝鮮は1993年に指紋認識技術関連の特許を初めて出願した後、毎年平均2-3件の国際特許を出願してきましたが、とうとう昨年はゼロだったようです。

中国のように改革開放路線をとるか、あるいはクーデターが起きて現体制が崩壊して民主化されるなど劇的な変化が起きない限り、今の北朝鮮にとって特許制度は全く機能していない、単なる絵に描いた餅に過ぎないようです。

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