すみれブログ
執行官募集!
2017年10月16日

私の記憶によると、毎年この時期になると弁理士会を通じて会員向けに執行官の募集案内が届きます。

 

執行官というのは、ウィキペディアによると、日本における単独制の司法機関で、地方裁判所に置かれ、民事執行手続において、自ら執行機関として、また執行裁判所の補助機関として業務を行ったり、訴状等の送達(執行官送達)を行ったりする人のことをいいます。

 

まぁ、ざっくりというと裁判で負けた相手がその判決に従わない場合に債権者からの依頼を受けてそれを強制的に実行させる人ですね。例えば、裁判で1000万円払えという判決が出たのに債務者が支払わずに無視していると、そのうちこの人が債務者宅にやってきてその家や車などの財産を没収して競売にかける等して強制的にお金を回収する仕事をする人です。

 

身分は一応裁判所職員という国家公務員のようですが、募集案内をみてみると、国からの給料や手数料の支給というのは一切無くて、依頼者(債権者)から頂く手数料収入がすべてのようです。

 

ですので交通費や電話代はもちろん助手を連れて行く場合にはその人件費もすべて自腹を切ることになります。国民健康保険料や年金も個人で加給します。国家公務員といっても、実体は個人事業主そのものですね。

 

でも、いざとなったら警察官の援助を求めることができるし、債務者が抵抗したら公務執行妨害で逮捕も可能性ですのでその権力たるや絶大です。しかも、仕事は裁判所から降ってくるから営業活動はいらないし、独占業務ですので収入もかなりいいようです。なかには年に数千万円も稼ぐ人もいるとか。ホントだったら羨ましいですね。仕事は大変でしょうけど。

 

ただ、極めて特殊な専門職ですので誰でもなれるというものでなく、なるには裁判所が不定期に行う採用試験に合格する必要があります。既存の執行官が退職するなどして欠員が出るとそれを補充する形で採用試験を実施しているようです。

 

さらにこの試験自体、誰でも受験できるわけでなく一定の受験資格があります。その受験資格というのが、「法律に関する実務を経験した年数が通算して10年以上である者」です。具体的には一部の公務員、弁護士、弁理士、司法書士又は不動産鑑定士、銀行などの金融機関での実務を10年以上経験した者で、なんと弁理士にも受験資格があるのです。

 

公務員や弁護士ならともかく、知財の手続専門の弁理士と民事の強制執行というのはなんだか無関係のような気がしますが、知財裁判がらみの強制執行の場合にはそれなりに需要の可能性があるのかな?

 

ただ、実際に執行官になっている人の殆どは裁判所書記官を退職した人のようでおそらく弁理士経験者は一人もいないでしょう。ですので弁理士初の執行官を目指すというのも面白いのですが、噂によると50人に1人か2人しか合格できないようで、実際になるには極めて狭き門のようです。

 

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