すみれブログ
うっかり期限を忘れたときは…
2016年02月19日

前回の記事に書いたとおり、NTT代理店の勧誘電話対策をした結果、それまで毎日あった勧誘電話がピタリと止まりました。おかげで無駄な労力を使う必要がなくなって業務が捗っています。やはり物事は本質を突いた対策(?)が重要ですね。

 

さて、特許調査をしていると否応なく他人のさまざまな出願を見ることになりますが、調査目的とは別にいろんな発見があってなかなか面白いものです。

 

発明の内容はもちろんですが、やはり職業柄その出願人にどんな代理人がついているのか気になります。おー、この人は知っているとか、こんな有名なクライアントを持っているのかぁ、羨ましいなぁとか…(^^;)

 

殆どの出願には職業代理人つまり弁理士が代理人としてついているのですが、希に個人出願つまり弁理士を使わずに出願人自身で手続したものが散見されます。詳しい統計を取ったわけではないのですが、体感的には全体の1割程度でしょうか。もちろん技術分野にもよりますが。

 

興味本位で個人出願のその後の経緯を見てみると、約半分が審査未請求で取り下げ処分となっており、審査を受けたものでもその殆どは拒絶査定になっているようです。代理人がついた出願で特許になる確率は約6割程度ですので、やはり特許になる確率は低いですね。

 

それじゃ個人出願の発明の内容が劣っているのかというと必ずしもそうではなく、拒絶理由の殆どは記載不備や手続的な未熟さが原因です。

 

特許をとるための手続きはプロでも難しいですから素人の方が生半可な知識で手続きしても所詮無理なのは仕方ありませんが、発明自体はすばらしいのに勿体ないなぁと思うことがあります。

 

それは審査する方もそう感じているのか、発明自体はすばらしいのに記載技術が稚拙ゆえに特許をとることが難しい出願の場合には、拒絶理由と共に弁理士への相談を勧める記述もよく見受けられます。

 

で、話は記事タイトルに移りますが、個人出願が拒絶される理由として記載不備の他に期限徒過によるものが結構みられます。つまり、拒絶理由通知がきたときはその指定期間内に応答する必要があり、これを1日でも過ぎると受理されずにその手続が却下されてそのまま拒絶査定になってしまいます。

 

この場合、弁明書という書面を提出して期限を遅れた理由を主張し、その理由が正当であると認められれば例外的に受理されて再審査が行われるのですが、個人出願の場合は比較的甘いというか、結構認められる確率が高いように思います。例えば、家族に不幸があったとか、病気で入院していたとか…の理由だけで。

 

でも、これが職業代理人である弁理士の場合は殆ど認められません。戦争や天変地異でもなければ。特許庁側としては、「貴方たちはこれで飯を食っているんだからその程度の理由ではダメです」といったスタンスです。

 

まぁ考えてみれば当たり前ですけど、クライアントの指示が期限ぎりぎりだったり、管理ミスだったり、担当者が辞めたり…、長年やっているとどうしても少ない確率では起こり得ます。先日の調査でもある弁理士が代理した中間処理で提出が1日遅れただけで却下されたものがありました。

 

ただ、拒絶理由に対する応答が認められかった場合には、その後に審判請求という救済手段がありますので致命的なことにはならないのですが、審査請求期限や設定登録料の納付期限を徒過した場合は救済手段はありませんのでこれだけは絶対ミスできませんね。

 

でも最近の法改正では従来に認められなかった期限徒過の場合でも正当な理由があれば認められるようになりました。さらに4月からは拒絶理由に対する応答期限を徒過した場合も罰金(?)を払えば受理して貰えるようになりますので代理人としてはちょっとだけ気が楽になります。

 

とはいってもどの期限も無制限に認められるわけではありませんので、この仕事をしている以上、期限管理という呪縛からは逃れることはできないようですorz

 

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