すみれブログ
商売というのは信用が大切です。
2014年07月9日

いい加減な物やサービスを売っておきながら後は知らんぷりというのでは消費者や取引相手は困ってしまいます。

 

しかし、この信用というのは一朝一夕では得ることができず、ある程度の時間が必要です。どの程度かは業種や商売の規模などにもよるでしょうが、通常3年程度は必要なようです。

 

例えば何の担保も実績もない起業したばかり会社が銀行に融資を申し込んでも一切相手にして貰えません。銀行にしてみれば融資して良いか否かの判断材料が全くないからです。少なくとも3年程度の取引実績は必要なようです。

 

また、独自の電気部品を製造して販売する場合、何も実績もない新規のメーカーが大手の家電メーカに取引を持ちかけても同じです。

 

しかし、起業したての会社であっても簡単に信用を得ることが可能な場合があります。

 

それは既に実績のある会社の信用に便乗することです。便乗する方法はいろいろありますが最も手っ取り早いのは、その会社名や商標の一部に、実績のある会社の登録商標を入れることです。

 

例えば、電気製品の場合ではその商標中にSON○やPa○asonicといった誰でも知っているような有名企業や有名ブランドの登録商標が入っていれば一気に信用が高まります。

 

もちろんこれらの登録商標を使用するためには商標権者の同意が必要ですが、同意さえ得られれば是非とも利用したいものです。有名企業の関連会社や子会社が積極的に有名企業名やその登録商標を利用するのはそのためです。

 

ところが、このように有名企業や有名ブランドの登録商標を含む商標を特許庁に商標登録出願した場合、出所混同を招くとして拒絶される場合があります。

 

こういった場合、既に商標権者から使用の同意(コンセント)を貰っているのだから問題ないのではないか、という反論をしたくなりますが、残念ながら日本の特許庁ではこれを認めていません。

 

それではどうするかというと、一旦拒絶された商標登録出願を商標権者に譲渡してその商標権者に権利を取得して貰ってから返してもらう(再譲渡)という煩わしい裏技(アサインバック)を使うことになります。

 

しかし、これをやるためには2回も譲渡手続をしなければならず、またコンプライアンス上も問題があります。また、親会社と子会社といった密接な関係にある会社間であればスムーズにいくでしょうが、それほど密接な関係のない場合には商標権者側が躊躇して同意を取り消す可能性もあります。

 

こういったことから日本弁理士会でも特許庁に対してコンセント制度の導入を申し入れているのですが、残念ながら今回の法改正では導入されませんでした。

 

アメリカやイギリスでは既に導入されているこのコンセント制度。わが国でも早期に導入することを望みます。

 

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