勝てない勝負はやらない主義なので、株や不動産などの投資は一切やっていない。いまは。
というのもかつて社会勉強という大義名分で一度株に手を出したことがあったが、あれよあれよというまに溶かしてしまいそれ以来やっていない。素人がチョットかじった知識程度で勝てるほど株式市場は甘くはないようだ。
それ以来株や不動産などの投資事には無関心だったが、最近ある理由でFXについて調べることになった(以下、FXに詳しい人にとっては極々当たり前のことなのでこのままページを閉じることをお勧めします)。
FXとは、「外国為替証拠金取引(Foreign eXchange)」のことで、刻々と変動する為替レートの変化を利用してお金儲けしようとするものだ。
例えば1ドルが100円のときに10ドル買ったとするとこの10ドルは1000円の価値があるが、その後円が上がって(円高)1ドル90円になると、この10ドルは900円の価値になり100円の損となる。反対に円が下がって(円安)1ドル110円になると、この10ドルは1100円の価値となり100円の得となる。
まぁこの例では千円の投資に対して10%増減するだけだし、そもそも短期間で為替レートが10%も変動するようことは滅多にないので、たいした儲けにならないような気がするが、FXにはレバレッジ取引というのがあり、これが取引の主流となっている。
レバレッジ取引というのは、…詳しく説明すると面倒なので割愛するが、要するに少ない資金(証拠金)で大きな金額の取引が行える仕組みだ。FXの取引業者に口座を作ってそこに入金すると、その資金の何十倍もの金額の取引が行える。従って少ない資金であっても大きな利益を手にすることができる。
一時期、家庭の主婦が午前中の僅か数時間の取引で数百万円も儲けた、というニュースが流れていたが、これもこのレバレッジ取引という仕組みによるものだ。その代わり予想がハズレると大きな損失を出してしまうが。
これが投資と言えるかどうかは疑問だが世間一般では投資の部類に入るようだ。
このFXは一方の通貨に対して将来他方の通貨の価値が上がるか下がるかだけを予想してその予想が的中すれば儲け、ハズレれば損をするという極めて単純なルールである。
なので当たるも八卦当たらぬも八卦ではないが、ハイアンドローのゲームであれば勝率50%であり、そんなに悪くもないような気がするが、実際には9割の投資家が負けていて勝っているのは僅か1割程度に過ぎないといわれている。
そして、その1割というのは機関投資家や為替ディーラーのようなプロなので素人同然の個人投資家はほぼ全員が負けていると思って間違いない。その原因は経験や情報不足の他に人間の心理によるのが大きいようだ。勝率が高くてコツコツ勝ってもドーンと負けてしまえば結局マイナスとなってしまい、退場となってしまう。プロと喧嘩しても勝てるわけがないのだ
ここまでは「まぁ、世の中そんなに甘くないね」といったところだが、いろいろ調べているうちに驚いたことがある。なんとこの取引を扱うFX業者の殆どがノミ行為をしているというのだ。
そして、さらに驚いたことにこのFX業者のノミ行為が違法でなくお上(金融庁)のお墨付きというのだ。
ノミ行為というのは競馬をやっている方であればご存じであると思うが、民間の業者がある公営レースの注文を受けたにもかかわらず、実際には馬券を買わないでそのお金を着服して(呑んで)しまう行為だ。
これではただの横領(犯罪)になってしまうが、そのレースがお客の予想とおり当たった場合には実際と同じかそれ以上の配当金をその業者自身の財布からお客に払い戻すため、お客とのトラブルにはならない。一方、そのレースがハズレた場合には、預かったお金がそのまま業者の懐に入ることになる。
ちなみに競馬の売上金の25%は予め差し引かれて残りの75%が配当金としてお客に支払われる仕組みになっているため、同じ配当であれば業者が損することはなく、極めておいしい商売である。そのため、かつては反社会的勢力の資金源となっていたことから警察の摘発が進み、現在では皆無か以前のように気軽に利用できないようだ。
つまり、お客とノミ行為を行う業者とは利益相反関係にあるのだ。お客が勝てばその分だけ業者が損をし、お客が負ければ預かったお金がそのまま業者の利益となる。
とはいっても競馬、競輪のような公営ギャンブルを対象としたノミ行為の場合は上記のようにその配当金の配当率から常に業者が儲かる仕組みなっているため、業者にとっては客が勝とうが負けようがたいした問題ではない。むしろ負けすぎて自分たちを利用して貰えない方が怖い。
が、民間のFX業者の場合はそうはいかない。競馬のように予め売り上げの25%を取ってしまったのではだれもFXをやる人はいないから多額の手数料をとることはできない。むしろ多くの同業者と競争しなければならないから取扱手数料をゼロにしているところも多い。さらに収入の柱であるスプレットの幅も出来るだけ小さくして多くの利用者を取り込もうと必死である。
そうするとFX業者は利用者が負けるように様々な手法を用いる。「ストップ狩り」や「スリッページ」、「レートずらし」といったものだ。もちろんこれらは違法だが、意図的なものであるとの証明が出来ない以上、利用者側にとってはどうしようもない。
電子商取引ではよくあるシステムや通信上のトラブルによるものだ、といわれてしまったらそうでないことを利用者が立証できない限り、その損失を填補して貰えないのだ。また、お約束とおりこれら業者との契約書や約款にはそういったシステムや通信上のトラブルによる損失は填補しないとの文言が必ず付されているため、いまさら利用者が文句を言っても受け入れて貰えない。
こういったFX業者の不正行為については実際に裁判にもなったようだ。利用者側が勝つ場合もあるが常に勝つとは限らない。むしろ利用者側の方が取引で大損をした上に裁判費用も支払うはめにもなりかねない。裁判になれば専門の弁護士を抱えて多数の判例を経験している業者側が圧倒的に有利なのだ。
しかし、なぜ金融庁はこんなFX業者のノミ行為を黙認しているのだろうか?これは邪推かもしれないが、金融庁としては世の中のお金がなるべく循環して多くの税収が得られるようにしたいとの思惑があるのではないかと思う。
つまりFXやその他の投資をする人達は多額の余剰資金をもっているだろうから、これをなるべく吐き出させて社会に循環させたいと考えているのではないだろうか。ご存じのとおりいまの税制では個人の預貯金に対しては税金が掛からない仕組みであるから、国にとってはお金をもっているだけでは経済が回らず困るのだ。
しかもこういったお金持ちの人達の多くは無駄な消費にはお金を回さないが、増やすこと(投資)には積極的にお金を使う傾向がある。そのため、国はFX業者や証券会社などの投資関連業者を利用して個人からその余剰資金を吐き出させるようにしているのではないかと考えるが如何だろうか。まったくの的外れであればご指摘頂ければ幸いです。
さらにもうひとつ驚いたこと。
国内のFX業者はいわゆるゼロカットシステムというのがないということだ。このゼロカットシステムがないとFX業者に預けた保証金以上のお金(追証)が発生し、最悪の場合には多額の負債を抱えて自己破産となってしまうことがある。
つまりFX業者の殆どは、損切りやロスカットというシステムがあって、レートが予想以上に値下がりした場合(損切り)や、損失が保証金の20%を下回った場合は、システムが自動的に手じまい(ロスカット)してそれ以上の損失が発生しないような仕組みになっている。
しかし、世の中で予想し得ないような大きな出来事(為替変動)が発生すると、大量の注文が殺到してこれらのシステムが機能しないことがある。例えば、東日本大震災のような未曾有の大災害や戦争などの他に、最近5年以内ではスイスフランショック、ギリシャのデフォルト、イギリス国民投票(EU離脱)などが発生したときも大きな為替変動が起こってFX業者の決済機能が追いつかずロスカットが発動しなかった(意図的に発動しなかったかも知れないが)。
その点ゼロカットシステムがあれば、保証金がマイナスになった状況でも最悪でもFX業者に預けている金がなくなるだけでそれ以上の借金(追証)が発生することはない。東日本大震災のような大災害や戦争などはめったに起こらないだろうが、スイスフランショック、ギリシャのデフォルト、イギリス国民投票(EU離脱)程度の出来事は今後も頻繁に起こってもおかしくない。なぜ、みんなこんな危険な取引を安穏としてやっているのだろうか?
ちなみに海外のFX業者の殆どはこのゼロカットシステムを採用しているのに国内のFX業者だけがこのゼロカットシステムを採用していない。その理由は、そもそも日本の金融商品取引法によって認められていないからだ。なぜ法律がそうなのかはわからないが、消費者保護の観点からしたら是非とも採用すべきだろう。
とどのつまり現状では個人投資家がFXに手を出してもほぼほぼ確実に負けるから大切なお金を失いたくなかったらやらないことをお勧めします。
とはいっても、もし投資だけで生活できればそれはそれでとても夢のある話なので、その方法がどうしてもFXというのであれば、ゼロカットシステムがあってノミ行為をしていないといわれている海外のFX業者を利用して、万が一全額無くなってもいい、という金額の範囲でやってみるのはいいかもしれません。
ただし、海外のFX業者のなかには頑張って資金を増やしても出金に応じない(出金させない)というトラブル(詐欺?)もあるようなのですべて自己責任で。