すみれブログ
「いきなり!ステーキ」が特許の取消訴訟提起!
2018年03月22日

「いきなり!ステーキ」といえば、おいしいステーキを立ち食いスタイルで安く提供するビジネスモデルで急成長のステーキチェーンで、弊所の近くにある柏店もお昼休みには行列ができるほどの人気ぶりです。

 

このお店を運営する株式会社ペッパーフードサービスは、店内での独自のサービスについていわゆるビジネスモデル特許として出願し、一昨年に特許を取得しています。

 

ところが、その特許の内容(発明)が通常であれば到底認められないようなもので業界ではちょっと話題になりました。

 

この特許の内容については多くの弁理士ブログで書かれていますので詳しいことは割愛しますが、要するに特許法で認められていない発明に対して特許が為されているのではないかということです。

 

もし自分が相談を受けたら「これは出願しても無駄ですよ」と切り捨てるような内容でしたので、これをみたときには「これが特許になるのか?」と少し驚くと同時に安易な判断はできないなぁと思った覚えがあります。

 

この特許については案の定おかしいと考える人がいて、特許になった直後に特許庁に対して異議申し立てがなされました。その結果、昨年末にその異議申し立てが認められて特許が取り消しとなりました。

 

この特許取消し決定については、「特許権の権利範囲はそれほど広くないし、ビジネスに影響もないだろうから不服を申し立てることはないだろう」というのが大方の見方だったようですが、ペッパーフードサービスは、この特許庁の判断に対して特許庁を相手取って決定の取り消しを求めて知財高裁に訴訟を提起したようです(平29行ケ10232)。

 

ちょっとややこしいですが特許庁による特許の取消決定を取り消すための行政訴訟です。

 

高裁での結果はどうなるか分かりませんが(おそらく負けるでしょう)、もしこの話題を多くのマスコミが報道すれば相当な宣伝効果が得られるし、当分の間は引き続き「特許取得」の宣伝文句を使えますので、どっちに転んでもペッパーフードサービスには損にならないでしょう。

 

しかも民事訴訟ならともなくこの手の行政訴訟は特許をとった弁理士がそのまま代理人になれますので訴訟費用もせいぜい数十万円で済みます。仮に高裁で負けても最高裁まで行くでしょう。私が顧問だったらそうアドバイスします。

 

この会社の一瀬社長は「『俺のイタリアン』を視察してこの『いきなり!ステーキ』の業態を検討した」とのことですが、転んでもただで起きない優秀なビジネスマンですね。

 

にほんブログ村 経営ブログ 経営者へ