すみれブログ
Amazonから出品停止の通知が届いた
2017年04月12日

けど、どうしたらいいの? というご相談を最近よく受けます。

 

どうゆうことかというと、Amazonに出品している商品の一部が他人の意匠権を侵害し、その意匠権者からAmazonに対して出品停止の要請があり、その結果Amazonがその商品の出品を停止してしまったため、商品を売ることができなくなって困っているとのご相談です。

 

Amazonはご存じのとおり日本最大手のインターネットショッピングモールです。買い手は膨大な商品群のなかから好きな商品を選び、数回クリックするだけで翌日にはその商品が自宅に届くという優れものです。

 

ここで商品を買う人がいるということは当然その商品を売る人がいるわけですが、売る人は買う人と同様に実に様々です。その商品のメーカーや問屋、小売店はもちろん自営業者やサラリーマン、主婦、学生などが副業で商品の転売目的で出品している例も多数あります。いわゆる「せどり」という商売もそのひとつです。

 

自社の製品や正規品を出品している業者の場合は殆どないのですが、せどりのような転売目的で出品している業者の場合はこのような問題がしばしばあるようです。特に中国や東南アジア諸国から商品を個人的に安く購入し、これを日本国内に輸入してAmazonのマーケットプレイスで販売するケースです。

 

意匠権や商標権のような知的財産権はその国ごとに独立して発生しますので、仮に日本で知的財産権で保護されている商品であっても外国で同じ権利をもっていなければ、その国では自由にその商品を作って売ることができます。その国では真似し放題ということです。

 

ところが、その商品を日本国内に輸入した途端に日本の知的財産権を侵害することになりますのでそれをAmazonで販売することは当然違法行為となり、それを見つけた権利者はAmazonに対して出品停止を要請することができます。

 

こういった知的財産権を侵害する事例が多いのか、Amazonでは出品業者向けに「知的財産権侵害についての申し立てその手続」という専用のヘルプページを作ってその救済手続について丁寧に説明しています。

 

この説明によると、先ず自分の知的財産権を侵害していると考える権利者(通常は同じAmazonに出品しているライバル業者である場合が多い)またはその代理人は、その商品と出品者を特定し、根拠となる知的財産権を示してAmazonに申告します。

 

申告を受けたAmazonの法務部は、その申告の内容が事実らしいと判断するといきなりその商品の出品をキャンセル(出品停止)すると共に、出品者にその旨の通知(Eメール)を送って対応を求めます。

 

通知の内容は、①出品された商品に対して知的財産権の権利者から侵害の報告があったので商品の出品をキャンセルしたこと、②権利者からの申し立ての取り下げがない限り出品を再開しないこと、③権利者の連絡先(名称及びEメール)、④権利者の要請に応じて出品者の連絡先情報を提供することがあること、⑤このような申告が頻発するとアカウント停止もあること、です。

 

悪意で出品しているならともかく善意で出品している側にとってはいきなりこのような通知が届くと驚きます。Amazonはこのような処分に対する問い合わせには一切法的な見解を示しませんので、慌ててカスタマーサービスに問い合わせてみても満足な回答は得られず、殆どが徒労に終わります。

 

つまりAmazonとしては知的財産権を侵害している可能性が高い申告があった場合には、直ちに商品の出品を停止し、あとは当事者間で解決してくれ、クレームは一切受け付けない、というスタンスです。そのことはマーケットプレイス参加規約や出品規約に明記されています。

 

場所を提供して儲けているくせに一見無責任のような気がしますが、そもそも知的財産権侵害はしばしば裁判にもなるように専門家でもその判断は非常に難しいのです。ですのでアマゾンという巨大企業と雖も一民間企業の法務部が完璧な判断などできるわけがなく、またAmazonにしてみたら一円にもならない問題にいちいち資源や人材をかけることができないのでしょう。営利目的の民間企業の対応としては尤もです

 

そうすると出品停止を受けた側はどのような対応をしたらいいでしょうか。その処分に納得いかなければ先ずはAmazonから知らされた権利者に連絡をして申告を取り下げて貰うように交渉することです。しかし、例えば権利が消滅していて明らかに権利者が勘違いしていたり、実施料や賠償金を支払うなどしない限り、その要求を受け入れてくれる可能性は低いと思います。

 

それが無理であれば今度はAmazonに対して不服を申し立てる手もありますが、前述したとおり出品者は内容は理解できなくとも建前上はAmazon規約に同意して出品した以上、その不服が認められる可能性は極めて低いといわざるを得ません。逆にあまりしつこく迫るとAmazonのアカウント停止という最もキツイ制裁を受ける可能性があります。

 

一方、法的手段に訴える、つまり無効審判や裁判を起こしてその権利を潰したりあるいは侵害していない判決を勝ち取って処分を回避する手も考えられますが、現実的ではありません。そもそも小遣い稼ぎのためにやっているのに裁判に何十万円も費用をかけたら裁判に勝っても結局は大赤字となるからです。

 

そうするとAmazonからこの手の処分を受けた場合の最も賢い対応は、とにかくAmazonの判断に従ってそのまま出品を停止すること、今後は同じ処分を受けないように十分気をつけることしかありません。

 

Amazonが作ってAmazonが運用しているシステムにおいてはAmazonは神です。神様に逆らってもいいことはありません。どうしても納得いかなければ今後は利用しなければいいだけのことですが、個人零細業者にとって最大のマーケットであるAmazonに出品できないということは極端な話、インターネット上では商売ができないことに等しいことですからね。

 

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