すみれブログ
マドプロは使えない?
2016年08月31日

複数の外国で商標権を取得するときにはいわゆるマドプロといわれる国際商標登録制度を利用するのが良いといわれています。商標版PCTですね。

 

弊所のような小さな事務所では決して多くないのですが、それでも年に数件程度はこの制度を利用して外国で商標を取得しています。

 

でもこの制度を利用する度に思うのですが、正直言ってあまり使い勝手が良くないですね。

 

先日も事後指定と同時に住所変更届けを直接国際事務局(WIPO)にファックスで送り料金も振り込んだのですが、一向に受領の返事がこなかったのでWIPOのウェブサイトで調べて見ました。

 

するとなんと、ステータスが「abandoned」(放棄)となっているではありませんか。

 

「えっ、なんだ! どうゆうこと?」

 

一応送金した料金の領収書だけは届いていましたので手続は届いている筈なのになぜか「abandoned」となって処理が行われていません。

 

意味が分からなかったのでここは一発流暢な英会話力で直接WIPOの担当者に電話して文句をいってやろうかと思いましたが、よく考えると私は英語が話せないのでしたorz

 

仕方がないのでいろいろ調べて見るとWIPOの日本事務局があるようなので取り敢えずそちらに電話して訊いてみましたが、その担当者の方もなぜそうなっているのか分からないとのこと。

 

当然ですがこのまま放置するわけにはいきませんので、直接WIPOにメールで問い合わせたところ3週間経ってやっと返事が来ました。これです↓

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Dear Hideo Kifune,

We refer to your communication below/attached. Over the period March 18 through March 23, 2016, Madrid Registry back office IT systems were upgraded through the deployment of the new Madrid International Registrations Information System (MIRIS). Unfortunately, during this period of our IT migration, we have been facing many IT bugs. In this particular case, your request was abandoned without being examined. I could now reinstall your request in the system in order for us to examine it and record it as soon as possible. Please be assured that we have taken steps to make this service fully operational. We apologize for the inconvenience  caused and thank you for your patience and understanding.  I am now asking my colleague in charge of your request, to give priority to it and record it as soon as possible. Hope my message will be of assistance.

Best regards,

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要するに最近システムをバージョンアップしたばかりでそのせいでいろいろとトラブルが発生しているらしく、この件はできるだけ速やかに対応するとのこと。

 

まぁホントかどうか分かりませんけど人間のやることですからある程度ミスが起きるのはしょうがないですけど、このレスポンスの悪さはどうにかして欲しいです。日本の事務局の方も言っていましたがホントにそうでした。この点、日本の特許庁はメールでも対応が素早いです。

 

それにアメリカを指定するとほぼ間違いなく形式的な不備を理由としたオフィスアクションがくるし、指定商品の表記に関しては日本特許庁でOKでもWIPOからNGがくることがあるし、セントラルアタックの心配もありますしね。しかも台湾はこの条約に加盟してないので直接申請しなければなりません。

 

というわけで今のところ弊所ではこのマドプロにあまりメリットを感じないのでしばらくは付き合いのある海外の事務所に直接頼むことにしようと思います。

 

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