すみれブログ
警告書?
2016年06月27日

いつもお世話になっている社長Aさんからの電話

 

口調がいつもと違う。ちょっと慌てているというか狼狽している様子。

 

きくと突然知らない会社からAさんの取引先にAさんの業務と関連する技術について特許出願をした旨の通知があったようでそれについて取引先からAさんに連絡があったようです。

 

その通知には出願番号と発明の名称だけは記載してありましたので、早速Jplatpatで調べると、確かにその出願自体は存在しており、公開もされてました。

 

でも、その公報を見ると代理人を使わない本人出願で、しかもその記載も極めて薄く(全部で2頁)、装置に関する発明なのに図面さえありません。

 

プロから見ればほぼ100%特許になることはないし、仮に特許になっても間違いなく無効にできるような記載内容です。

 

すぐにその旨報告すると安心したようでした。

 

特許出願自体はだれでもどんな内容でも一応形式さえ整っていれば特許庁は受理してくれます。また、通知自体は違法とまではいえませんが、もらったほうとしてみればちょっと気味が悪いですね。

 

ここからはあくまでも推測ですが、この通知には独占的仮通常実施権と書いてあったり、実施の中止を求める旨までは書いていないあたり、どうも完全な素人ではなく、ある程度特許のことを知っている者の関与が疑われます。

 

その一方、出願書類の記載は殆ど体を為していませんので実際に明細書までは書いたことのない人ではないでしょうか。

 

そうすると、考えられるのは無料の公的な発明相談を利用して出願人自身が手続きしたのか、あるいは知財コンサルと自称する無資格者に頼んで安価に手続代行をしてもらっている可能性が高いです。

 

そういえば、先日長野県で無資格者が報酬を得て特許出願の手続代行をしたとの弁理士法違反容疑で逮捕されましたね(→ココ)。依頼者が不審に思って弁理士会に問い合わせてみて発覚したとのこと。もしかして弁理士を名乗っていたのでしょうか。

 

特許は明細書の内容がすべてといいきってもいいように極めて重要です。そして、この作業は素人やちょっと特許をかじった程度の無資格者が一朝一夕でできるような簡単なものではなく、まともな明細書を書くためには有資格者でも特許事務所で少なくとも3年くらいはみっちり修行しなければなりません。

 

ですので、安いからといって安易に無資格者には頼らないことが重要ですし、弁理士会のほうももっと啓蒙活動をする必要がありそうです。

 

にほんブログ村 経営ブログ 経営者へ