すみれブログ
ソフトウェア特許って役に立つの?
2016年04月5日

コンピューターを動作させるためのソフトウェア(コンピュータプログラム)は著作権と共に特許権でも保護することができます。

 

ただ、著作権の場合はいわゆるデッドコピーを防止できるだけで、そのソフトウェアの中身であるアルゴリズム(技術的なアイデア)は特許権でなければ保護できません。

 

実質的に中身をパクっているにも関わらず表現形式が異なっている場合には、著作権で抑えることができず、特許権に頼わざるを得ないのです。

 

しかしながら、日用品や機械系の発明のようにその構成がはっきりと目で見える特許の場合には比較的容易に侵害を立証できるのですが、ソフトウェアの場合はそれを記録した媒体以外の実体がないため、侵害を立証するのは容易ではありません。

 

特許権侵害の立証責任は原則権利者側にありますので、特許権者はその被疑製品であるソフトウェアあるいはそれを組み込んだ製品を取り寄せ、それを解析する必要があるのですが、通常ソースコードは相手側にあるため、それを合法的に入手しない限り、そのソフトウェアで特許の対象である手順や処理が行われているかどうかを立証するのは難しいのです。

 

ソースコードがない場合の立証方法としては、逆アセンブルによって機械語(数字)の羅列であるオブジェクトプログラムからソースコードを生成してそれを解析する手法が考えられるのですが、CやC++のようなプログラミング言語で記述されたソースコードの場合は事実上不可能ですし、逆アセンブル可能と言われているJavaでも大変な労力を要します。

 

しかも、この立証に要した費用を損害賠償として裁判所が認めてくれる保障もなく、裁判に勝っても費用割れという事態が考えられます。

 

とはいっても汗と努力の結晶であるソフトウェアに関する発明を他人に巧妙にマネされたのでは特許法で規定している意味がありませんので、実際には製品マニュアルやその動作などの間接的な証拠を集めて立証すれば、相手方の明確な反証がない限り、裁判所でも特許権侵害を認めてくれます。

 

また、特許権を取得しているという事実だけで同業他社に対する牽制(ハッタリ)にもなりますので、新しいソフトウェアを開発したときは是非とも特許権で保護すべきです。

 

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