すみれブログ
経営者に必要な資質(その1)
2015年08月27日

灰原
「社長、私は入社以来帝国金融に純益を1億円以上もたらしていますよ」

社長
「1億円稼ぎ出したとノボセあがっているみたいやけど、帝国の看板とワシの金で丁稚がちょろちょろと御用伺いしただけやないか
掛け捨ての生命保険でも1億円なら月々数十万円のゼニが必要や お前に払えるか 無理やろ つまりお前は1億円の値打ちがない人間や
ワシらの法定金利40%で月々25万ずつ25年ローンで返済するとして借りられる金利はなんぼや?」

灰原
「750万です」

社長
「どや、これがワシらの側のカラクリや 750万で人間一生の身売りや 25年間払い続けたお金の9割がワシらの取り分、つまり金利や
そやそやついでに言うとくけどお前の基本給も25万や お前の価値は元本750万円のローン1本と変わらんのや ここから上で何を夢見てもええけどな ここから下は担保がいるんじゃい!」

灰原
「ですから今回の屑信用金庫の破綻に伴う新規の顧客に対する貸し付けだけでも相当儲けさせていますけど」

社長
「お前、ワシの会社の金主にいつなったんや お前の取り分は毎月25日に渡してるはずや それでも不満ならいつでも辞めんかい」

灰原
「社長、出過ぎたマネをして申し訳ありませんでした」

社長
「お前 ホンマに街金のきびしさがわかってんのか!
顧客に首くくる人間がいても止めたらアカンで 生命保険金が入らんやろ これで収穫が途絶えたわけや 焼き畑農業やな それでまた次の山に火を付ける この繰り返しや これが街金や
ええか ワシらは下だけ見とったらええんや ベンチャーキャピタルがやりたいんなら自分の金でやれ 勝手なマネは許さんで!」

 

(ナニワ金融道(講談社モーニング)第十六巻から引用)

 

いまから約二十年前に大ヒットした漫画、ナニワ金融道(青木雄二)の一コマです。

 

主人公(灰原)とその主人公が勤務する会社(帝国金融)の社長(金畑)とのやりとりのシーンですが、当時私はサラリーマンでしたので、このシーンを読んだときは酷い社長の元で働いている主人公(灰原)に同情したものでした。

 

でも、経営者の立場になったいま読むと感想はまったく逆で、金畑社長の言い分は痛いほど良く分かります。

 

極端な話し、サラリーマンだったら会社が倒産してもそれまで培ってきた経験やキャリアを生かして転職すればいいだけです(まぁ、それも簡単ではないですけど…)。

 

でも経営者は会社が倒産したら全てを失います。特に個人・中小企業の経営者の場合は、家や土地などの個人資産を担保に借り入れしているケースが多いですから、会社が倒産したら住む家もなくなってしまい、最後には夜逃げというケースも希ではありません。当然信用も失って再起は殆ど不可能です。

 

それほど経営者というのは重い責任とリスクを負っているわけですから、たとえ正論であっても一介の平社員に生意気なことをいわれたらカチンとくるでしょうね。

 

ただ、優秀な社員ほどいろいろと口出ししてくるし、かといってこの社長のように頭ごなしに拒絶すると会社を辞めてしまい、残ったのはダメ社員ばかりということもありますので、会社経営のためには先ず優秀な社員をいかに上手に使いこなせるかといった能力が必要となります。

 

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