私とゴルフとのつきあいは、もうかれこれ30年以上になります。
いまでもクライアント主催のゴルフコンペだけは欠かさず参加していますが、実はいまだに100を切ったことがありません。ベスグロは104です。
私が最初にゴルフと出会ったのは高校生のときです。高校1年生のときに近所にゴルフ場がオープンし、そのゴルフ場で土日やお盆の繁忙期にキャディのアルバイトをしたのがきっかけです。
たしかバイト料は1ラウンドで5000円、1.5ラウンドで7500円でしたので当時の高校生としてはかなり魅力的なバイトです。
当時は乗用カートなんかはありませんでしたので、4人分のお客さんのゴルフバッグを電動カートに載せ、そのカートを操作しながら18ホール(または27ホール)を回るのが仕事です。
ただ単に4人分のバッグを運ぶだけなら楽ですがそうゆう訳にはいきません。先ずは4人のお客さんの名前と顔、それぞれのゴルフバッグ、クラブの種類などを瞬時に覚え、各ホールに到着するとお客さん毎にオススメのクラブを選んでティグランドに用意します。
ミドルやロングの場合は、取り敢えずドライバーを用意しておけば間違いないのですが、お客さんによってはスプーンだったり、ロングアイアンだったりしますので、それを覚えておき次回からはそのクラブを用意します。
さらに、そのコースの特徴やOBの位置などもきかれますので、予め全てのコースを頭に入れておく必要があります。「ここは左ドッグレッグで右側がOBですので、左斜面にある大きな木の方向に打った方がいいです」といった具合。
また、打ち始めのタイミングを決めるのもキャディの仕事です。後ろが詰まっているときなんかはなるべく早く打って貰いたのですが、かといって前のパーティに打ち込んだら大変です。
一度、誤って打ち込んでしまったことがあったのですが、そのときは運悪くその筋の方々だったので、ものすごい勢いでどやしつけられた上に支配人まで呼ばれるということもありました。そのゴルフ場は、丘陵地を切り開いてつくったため、起伏が激しくティーグランドから死角になる箇所がたくさんあったのです。
コース上ではそれぞれのお客さんが打ったボールの位置を覚えておき、きかれたらその位置を教えてやる必要があります。うっかり見失ってしまったりすると一緒に走り回って探さなくてはなりません。
ですので、その筋の人やガラの悪い客にあたると悲惨です。探しても見当たらないとキャディのせいにされてどやしつけられることもしばしばです。
「このへたくそが、真っ直ぐ打たない方が悪いんじゃないか」と心の中で思っても言葉や態度に出せないところが辛いところです。当時はたかがゴルフでなにを熱くなってるんだか思っていましたが、いま思うと高額の賭けゴルフでもしていたのかもしれませんね。
慣れないお客さんの場合は、何も持たずにボールの位置を確かめてからクラブを選ぶため、その都度お客さんから呼ばれる羽目になります。呼ばれたらいちいちその位置までクラブを持って行かねばならず、コース上を右に左に上に下に走り回されることになります。プレーされる方はご存じでしょうが芝の上は意外と熱くなりますので夏場は大変です。
グリーン周りに到達すると今度は打ったまま放ったらかしのバンカーの馴らし作業や芝の補修、クラブの交換などもしなければなりません。
そしてグリーンにのればのったで、ピンの抜き差し、ボールの清掃、ピボットの補修、パターの手渡し、クラブの回収作業などが待ってます。さらに、ベントがー、高麗がー、ラインがーなんてきかれることがありますが、さすがにバイトなのでよく分かりませんといっておけば大抵許して貰えます。
こうしてやっと1ホールが終わるわけですが、これを18ホールも繰り返さなくてはなりませんのでそれはそれはかなりの重労働です。終わった頃にはへとへとになります。このときにお金を稼ぐことは大変なことを学ぶことになります。
その後、実際に自分がプレーするのは社会人になってからです。たしかにゲームとして面白いし、気持ちがいいと感じることもあるのですが、どうしてもこのときの辛い記憶が残っているので、心から楽しめない自分がいたりします。
そうゆう訳で今後もつきあい程度のゴルフはすると思いますが決して嵌ることはないと思います。
そうすると、私の場合スコアも100を切ることは永遠にないでしょう。