すみれブログ
デニーズとデリーズ
2014年06月17日

先週末に長野県の風俗業者がファミリーレストラン「デニーズ」をまねた商標を表示したなどとして不正競争防止法違反の疑いで逮捕されました(→ココ)。

 

両商標は同一ではありませんが色や書体、デザインなどがそっくりで風俗業者が「デニーズ」の商標をぱくったのは誰の目にも明らかですね。

 

ところで、この逮捕容疑は「不正競争防止法違反」です。なぜ「商標法違反」ではないのでしょうか。

 

つまり、ファミリーレストラン「デニーズ」は登録商標↓ですので、その商標権者(株式会社セブン&アイ・フードシステムズ)はなぜ商標権侵害で訴えなかったのでしょうか。

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登録商標 第3017225号

指定商品 42定食を主とする飲食物の提供(一般食堂が提供するもの。)

 

詳しいことは分かりませんが、これは風俗業者による「デリーズ」商標の使用が、登録商標「デニーズ」の商標権の権利範囲から外れているからだと思われます。

 

つまり、登録商標の効力はその登録商標の指定商品または指定役務と似ている範囲にしか及びませんので、指定商品または指定役務が似ていなければ商標権侵害とならないのです。

 

「デリヘル」と「レストラン」とは明らかに異なるサービスですし、出所の混同も生じないので警察の方も商標権侵害では検挙できないと判断したものと思われます。

 

しかし、この風俗業者による「デリーズ」商標の使用は、登録商標「デニーズ」が発揮するブランド力や信用に便乗していることは明らかですし、また、その使用によってそのブランドを毀損する可能性もあります。

 

このような使用に対しては、不正競争防止法(2条1項2号など)によって他人の使用を禁止し、刑罰を与えることができます。誰でも知っているような有名な商標はたとえ出所混同が生じなくとも不正競争防止法によっても保護されるのです。

 

ただし、このような恩恵を受けるのは長年こつこつと営業を続けることで全国的に有名になった商標(ブランド)だけですので、それまでは商標権によって大切に保護してやることが重要です。

 

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