すみれブログ
資本主義と特許(つづき)
2014年06月4日

資本主義の行き着く先は、絶望的な貧富の差です。資本を持つ者はその資本で稼いだ資本を再投資して事業を拡大する一方、労働力しか持たない労働者はその有限な労働力さえ買い叩かれ、働いても働いても豊かになれません。ワーキングプアです。

 

日本にはかつて財閥というものがありました。

財閥というのはいろんな定義があるようですが、「家族または同族によって出資された親会社(持株会社)が中核となり、それが支配している諸企業(子会社)に多種の産業を経営させている企業集団であって、大規模な子会社はそれぞれの産業部門において寡占的地位を占める。または、中心的産業の複数部門における寡占企業を傘下に有する家族を頂点とした多角的事業形態」というのが通説です(wikipedia)。

 

つまり、ある事業で成功した一部の創業者家族が株式という経済システムを利用してピラミッド型の企業集団をつくり、その頂点に君臨して企業集団全体を支配するというシステムです。

 

戦前の日本では、三井、三菱、住友、安田といった4大財閥を含めて10以上の財閥がありました。これら財閥の頂点に立つ創業者家族はいずれも大富豪であり、当時の政治を動かすような大きな力を持っていました。

 

ところが、日本は太平洋戦争で米国に敗れ、その敗戦を受けて日本に進駐した占領軍(GHQ)は、日本の民主化政策の1つとしてこの財閥を解体するという政策をとりました。

 

GHQは日本の軍国主義を支えた要因が1つがこの財閥というシステムにあると考えたからです。ちなみに戦争というのはとても儲かるビジネス(軍需産業)のようで、かつて戦後の日本経済が高度成長を果たした要因の1つが朝鮮戦争です。

 

そして、さらにGHQは解体した財閥の復活を阻止するために独占禁止法という法律を制定しました。

 

独占禁止法というはこのブログで何度も取り上げているように、既存の企業が徒党を組んで新規事業者の市場への参入を邪魔して、その市場を独占する行為を禁止する法律です。既存の企業による私的独占,不当な取引制限(カルテル,入札談合等),不公正な取引方法などの行為を規制することで公平かつ自由な競争を促進しようとするものです。

 

しかし、この法律はあくまでも市場における公平かつ自由な競争を担保するものであり、資本主義の本質を変えるものではありません。資本主義というは放っておけはやがて強い者が一人勝ちし、その下におびただしい敗者が生まれるという宿命を背負っています。

 

そのため、財閥解体後も利害の一致する企業同士が資本提携してグループをつくり、ライバルグループとしのぎを削るという構図が出来上がりました。

 

また、事業者間の競争はなにも国内だけに限りません。市場のグローバル化により海外の企業との競争にも勝たなくてはなりません。日本政府としては一部の企業による日本市場の寡占状態という負の側面よりも日本の企業が弱体化して海外の企業に負けてしまうことだけは何とか避けなければなりませんでした。

 

外国の企業に負けない強い企業をつくるための1つとして、その後独占禁止法が改正されて純粋持株会社制度が認められ、財閥が復活しました。その結果、今の日本市場は「ホールディングス」「ファイナンシャルグループ」などと名を変えた財閥(大資本家)による寡占状態となっているのです…。

 

こういった大資本家による寡占状態のなかで弱小の中小企業や個人企業が生き残っていくためにはどうすれば良いのでしょうか。

 

当然のことながら大企業のような潤沢な資本による事業形態は不可能ですので、やはり独自のアイデアを生かしたオンリーワンのビジネスモデルを目指すしかないと思います。知恵を絞り自分のところでしか提供できないものやサービスを創り上げるのです。

 

ここで、大事なポイントは「自分のところでしか提供できないもの」です。せっかく汗水流して考え出したものが他人にペロッと真似されたのでは堪ったモノではありません。

 

このような知的創造物を護るのが特許や著作権のような知的財産権です。知恵を絞りそのアイデアを知的財産権で護る。私は知的財産権こそが弱者が資本主義社会で勝ち上がっていくための唯一かつ強力な武器だと思っています。それ以上の手段を私は知りません。

 

こんなもので特許を取っても仕方ない、という方がおられます。

 

そうではありません。特許は持っていることに意味があるのです。たしかに実際、裁判になったら権利行使が認められないばかりでなく、その権利自体が無効にされるかもしれません。

 

でも、何もないよりは遙かにマシです。良く切れる刀でなくても良いのです。仮に竹光であっても腰にぶら下げているだけで実際に抜かなければ十分ハッタリがカマせます。丸腰でははなから相手に舐められてしまいます。

 

バブル崩壊後、日本経済は長い間不況にあえいでいましたがここにきてようやく回復の兆しが見えてきました。多くの経済評論家がいうように東京オリンピックまでの今後6年間はこの状態が続くことを期待していいと思います。

 

今後6年間は、まさに千載一遇のチャンスといえます。近い将来、日本でもスティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグのような偉大な起業家が出てくるかもしれません。
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