昔の特許出願は手書きやタイプで印字した紙(出願書類)を郵送又は特許庁の窓口に持参していたのですが、いまは全てインターネットによる電子出願です。
もちろんいまでも紙書面での出願は受け付けてくれますが、その場合は電子化のための手数料が余計にかかってしまいますので損です。
日本では平成2年から電話回線を利用した電子出願が始まりました。当時はそのためのパソコンやスキャナ、プリンタなどが極めて高価で電子出願のシステムを組むためには500万円程度かかったそうです。
当然に零細事務所や個人の特許事務所では、そんな大金を用意できませんからしばらくの間は紙出願かフロッピーディスクでの出願でした。
それが今や高性能のパソコンやスキャナーなんかは僅か数万円で手に入れることができます。しかも出願ソフトは特許庁から無料で配布されますので、誰でも簡単に特許出願することが可能となりました。
インターネットを使えば事務所に居ながらにして欲しいモノが買えますし、世界中の人と簡単に情報交換することができます。つい先程、ドイツとロシアの代理人から受任のメールが届きました。
技術の進歩に感謝です。
一方、ものすごい勢いで増えているようです。
銀行強盗、…じゃなくて、インターネットバンキングの不正送金事件。
弊所でも国内外の送金は殆どインターネットバンキングです。わざわざ銀行に行って待たされることもないし、ホントに便利です。
でも、これって振込用のカード番号や暗証番号さえ分かれば、誰でも他人の口座からお金を盗ることが可能ですので実はとても危険です。実際、昨年だけでも14億円もの被害があったそうです(→ココ)。
取引銀行からは注意喚起のメールが頻繁に届きます。つい最近弊所でも振り込みは銀行が推奨するカード式のワンタイムパスワード方式に切り換えました。
いつのまにか口座のお金が無くなっている。知らない間にそんな恐ろしいことが起こるかもしれません。
技術の進歩によって生まれた負の遺産です。