すみれブログ
JASRAC
2014年02月14日

名古屋市内にあるものまねショーパブが、ショーの際に流すカラオケなどの楽曲利用料を支払っていないとして日本音楽著作権協会(JASRAC)から訴えられたそうです(→ココ)。

 

報道によれば、所属タレントがものまねの際に使用したカラオケ楽曲の使用料を著作権者であるJASRACに支払っていないとのこと。その請求額は、なんと680万円

 

確かに他人の著作物を利用して商売している訳ですから、当然タダで使ってる方が悪いのはいうまでもありませんが、音楽の無断使用だけで680万円っていうのは、ちょっと、どうなんでしょうか!?。

 

ご存じのようにこのJASRACという組織は、音楽の作詞・作曲家などの権利者から著作権の管理委託を受けて、音楽の利用者に対する利用許諾、利用料の徴収・分配、著作権侵害の監視、著作権侵害者に対する法的責任の追及などを行っている一般社団法人ですが、その運営を巡ってはいろいろと問題になっているようです。

 

昨年末には、公正取引委員会によるJASRACに対する排除措置命令を取り消す審決の取消しを求めた訴訟の判決に不服として最高裁判所に上告しました(→ココ)。

 

これはどうゆう事件かというと、2009年にJASRACがテレビ局との間で、管理楽曲を自由に使うことのできる包括的利用契約を結んだのですが、それが独占禁止法に違反するとして公正取引委員会が排除措置命令を出しました。

 

しかし、これがJASRAC側の主張により2012年になって審決で取り消されたのです。そして、これを不服とした同業他社(イーライセンス社)が東京高裁に提訴した審決取消訴訟の結果、それが認められて審決が取り消されたたため、これに対してJASRAC側が最高裁に上告したという事件です。

 

つまり、JASRACは昭和14年に設立された日本最初かつ唯一の音楽著作権管理団体でしたが、2001年の「著作権等管理事業法」の施行に伴い、著作権管理事業への新規事業者の参入が容易になり、実際に幾つかの事業者がこの著作権管理事業分野に参入しました。

 

ところが、JASRACは既に圧倒的なシャア(管理楽曲数)を持っていたため、テレビ局としてはJASRACとの間で包括的利用契約を結んでしまえば、実質的に殆どの楽曲を自由に使用できるわけですから、わざわざ他の小規模な新規参入業者と契約するメリットがなくなってしまいます。

 

一方、いくらインターネットが普及してきたといっても、やはりテレビというマスメディアはいまだに圧倒的な情報発信力を持っていますので、楽曲の提供者(作詞・作曲家など)側にしてみれば、テレビで自分の楽曲が放送されればそれだけ売り上げにも貢献する訳ですから、テレビ局と包括的利用契約を結んでいるJASRAC側に管理信託した方がメリットが大きいことになります。

 

そうすると、イーライセンス社などの新規事業者との間で管理信託契約を結ぶ楽曲提供者がいなくなってしまい、新規事業者としてみれば存亡の危機に立たされてしまうことになります。

 

そこで、公正取引委員会がJASRACがテレビ局と締結した包括的利用契約に対して排除措置命令を出したのですが、これを不服とするJASRAC側から請求された審判で排除措置命令を取り消す審決が為されたのです。

 

これに対し、イーライセンス社がこの審決の取消しを求めて東京高裁に提訴(特許法のように1審省略です)した結果、これが認められてその審決が取り消され、またまた、これに対してJASRAC側が上告したという事件です(上告中)。

 

 

また、我々の世代では有名なバンドである爆風スランプのファンキー末吉さんが経営するライブハウスに対するJASRACからの著作権料の料金徴収法に対するトラブルで、昨年末にはJASRAC側が末吉さん側を訴える訴訟を起こしました(→ココ)。

 

JASRAC側としてみれば、既に日本全国の数万~数十万件の飲食店やカラオケ店などとの間で使用契約を結んでいるわけですから、その立場上例外を認めるわけにはいかないのでしょうが、このようなJASRACの強硬な態度に対してはスラップ(SLLAPP)ではないかとの批判もあるようです(→ココ)。

 

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