今朝のテレビやニュースで大手5百貨店が米人気アクセサリブランド「チャン・ルー」の模造品ブレスレットを販売していたことが大きく報道されていました。
報道によると、静岡の雑貨販売業者が正規代理店を通さずにネットオークションなどで仕入れて販売したブレスレットが偽物であって商標権侵害の疑いがあるということです。
ちなみに商標権者である「チャン・ルー・インコーポレーテッド」はわが国で5件ほどの登録商標を保有しているようです(登録4884138、登録5527759、登録5544609、登録5577689、登録5577690、登録5584976)。
商標登録第5584976号
ニセブランド品の販売というのは実は昔から良くあることで特に目新しいことではないのですが、今回大きなニュースになったのは、それを販売していたのがなんと西武百貨店や伊勢丹などの有名デパートであったというのが理由です。
信頼を売り物にしている大手百貨店でまさかニセブランド品が売られているとは…、昨年の有名ホテルでの食品偽装に続き、もはやおまえもか、といったところでしょうか。
商標権侵害は、故意の場合、最高で1000万円以下の罰金または10年以下の懲役といったかなり重い刑事罰が適用されます。そのため、この業者は知らぬ存ぜぬという態度を取っているようですが、個人ならともかくプロの業者が知らなかったというのは少々無理があると思います。
特に、今回の商標権者は米国のメーカーですから何ら躊躇することなく刑事告発や商標権侵害訴訟を起こす可能性は高いと思います。場合によっては軒先を貸していた百貨店も訴えられる可能性があります。
ニセブランド品の販売でどの程度儲かったか知りませんが、この業者は今後、大手百貨店との取引がだめになるだけでなく、商標権者から損害賠償や刑事責任を追及されることでしょう。安易に行った行為が大きな代償を支払う結果となってしまいました。
ただ、ここで注意して頂きたいのは、正規代理店から仕入れたものを販売する行為だけがOKで、並行輸入品の販売はNGということではないことです。
つまり、この問題はあくまでこの業者が偽物(模造品)を販売していたから違法なだけであって、並行輸入品といえどもそれが本物であれば何ら問題ありません。
但し、本物といえどもそれを勝手に改良したり、小分けしたりして手を加えて販売する行為は、商標権侵害になるので注意しましょう。