すみれブログ
外国特許をとろう!
2012年03月19日

わが国で取得した特許権の効力はわが国にしか及びません。そのため、外国で発明の保護を受けるためには、その国ごとに特許権を取得する必要があります(※1)。


 

しかし、複数の国で特許権を取得するには、各国ごとに決められた手続きを、限られた期間内にしなければならないためその作業は容易ではありません。

 

このような場合には、国際特許協力条約(PCT)に基づく国際出願という制度を利用すれば、比較的容易に複数の国で特許を取得することが可能です。

 

この国際出願制度は我が国の特許庁に国際出願をするだけで保護を要求する各国に直接出願したのと同様な効果が得られる便利な制度です。

 

しかし、この制度は出願段階だけをひとつの手続きで済まそうとするもので、各国に移行した後は各国ごとに各国の言語で手続きをしなければなりません。

 

つまり、米国で特許を取得するためには出願書類の英語の翻訳文を提出しなければならなく、その後は英語で米国特許商標庁とのやりとりが必要となります。当然のことながら中国の場合は中国語の翻訳文を提出するとともに中国語で中国特許庁(専利局)とのやりとりが必要となります(※2)。

 

また、各国での手続きは基本的に現地代理人をたてなければならないため、各国ごとの翻訳文を作成する費用の他にこの現地代理人の費用、各国特許庁に納付する費用などが必要となります。これらの費用を合わせると国によって違いますが1カ国あたり約100万円近い費用がかかります。例えば10カ国で特許を取るためには、数百万から一千万円近い費用が必要となります。

 

このように外国で特許を取るためには、多額の費用がかかるのが難点です。また、外国で特許を取った後で現地で裁判を起こすためには現地の代理人を立てる必要があるため、その裁判費用も高額となってきます。

 

とはいっても、特許も何も持たずに海外進出を果たすのは丸腰で戦場にいくようなものであまりにも心もとない気がします。それにWTO加盟国であれば外国人(日本人)の特許も自国民の特許と同様に保護する義務がありますので、いざというときに特許や商標は自社を守ってくれる心強い味方になってくれるはずです。

 

個人や零細企業ならともかく、将来海外での自社製品の販売や現地法人を設立するような計画がある企業はその国で特許や商標を取得するための経費は最低限の必要経費として考えるべきでしょう。

 

※1:有名な新聞でもまれに「国際特許を取得」などのような記事が載っていますが、いまのところ世界各国で通用するような特許は存在しません。
※2:ヨーロッパの場合は欧州特許条約により英語の他にフランス語やドイツ語などで手続きすることが可能です。

 

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