すみれブログ
産業(技術)の発達は人を幸せにするのか?
2013年04月25日

特許法の目的は、わが国の産業の発達に寄与することです(特許法第1条)。

 

なぜ、特許法では産業の発達に寄与することを法目的としているのか?これは明文の規定はありませんが、日本国憲法を見れば産業の発達が国民の安全と幸福に寄与するものであるという考え方であることが窺い知れます。

 

それでは本当に産業(技術)の発達が人を幸せにするのか?

 

私見を言わせてもらえればまさにその通りだと思います。確かに、例えば医学の発達により高齢化が進んで社会の負担が増大したり、科学技術の進歩によって人間のやるべき仕事が減ってリストラや失業者が増えてしまったりなどといった負の側面もあるのは否定しませんが、産業(技術)の発達によって人類はそれよりも遙かに多くの恩恵を享受していることは確かです。これについては、後日追々述べてみたいと思います。

 

さて、先週の4月20日に将棋の現役プロ棋士が5対5の団体戦でコンピューターに敗れるというニュースがありました。将棋界ではこれは結構衝撃的なニュースだったようで最後に敗れたプロ棋士の三浦弘行八段の落胆ぶりは印象的でした。ちなみにこの三浦弘行八段は、第68期A級順位戦において郷田真隆を下して羽生善治名人への挑戦権を獲得するほどの実力者です。

 

へぼ将棋だったら誰にも負けない私でもこのニュースをきいたときは「とうとうコンピュータもココまできたか」という感慨深い印象を受けました。かつてコンピュータがチェスの世界チャンプを破ったときでも、さすがにプロ棋士に勝つにはあと数十年かかるだろうといわれるほど将棋の場合は圧倒的に人間が強かったのです。

 

私が初めてコンピュータと接したのは、今から約25年程前のNECのPC9800シリーズというパソコンです。OSはマイクロソフト社のMS-DOSで、ファイル操作のたびにいちいちキーボードでコマンドを入力しないといけないといった代物でした。

 

当時コンピュータは産業界で自動化が導入された機械の制御用や一部のマニアの高価なおもちゃといった程度の存在でしたが、その後、ウィンドウズやインターネットの登場により爆発的に普及するとともに飛躍的に性能が向上しました。

 

さらに多くの業者が参入することによって価格もどんどん下がり、いまや教育現場では学生1人に1台の時代になってきました。今回のプロ棋士を破ったGPS将棋も普段東大の学生が使っているおよそ680台のパソコンをつないだものだそうです。

 

そして、あと10年もすれば、トップのプロ棋士でもコンピュータに勝つことはできないだろうとのことです。

 

そうすると、もはや人間の頭脳はコンピュータにまったく敵わなくなると悲観する人もありますが、その心配は要りません。この戦いも本質的には人間(プロ棋士)と人間(ソフト開発者:アマチュア)との戦いで、一方の人間(アマチュア)がコンピュータという武器を使って戦ったハンデ戦に過ぎません。

 

どんなに性能が上がったとしてもコンピュータはあくまでも道具であって人間が命令しなければタダの箱です。映画のターミネータのようにコンピュータ自身が意思をもって人間と戦争するようなことはまだまだ夢物語だということです。

 

ちなみにプロ棋士の三浦弘行八段にとって産業(コンピュータ)の発達は、少なくとも今回は幸せでなかったようですね。

 

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