すみれブログ
オンリーワンを目指せ
2013年12月4日

「先生、会社っていうのはね、えげつないことをしないと大きくならないんだよ」

 

知り合いの中小企業の社長がしみじみとかたっていました。

 

この会社は数十年前、ある自動車メーカーの下請けをやっていてその部品加工を一手に受けていました。優秀な職人を何人も抱えてましたが、度重ねる値下げや品質改良の強要に応えきれなくなって本格的な取引を辞めてしまったそうです。従業員の殆どを解雇し、今は単発的に入る仕事で細々と会社を維持している状態です。都内にしては比較的広い工場内は数人の従業員が点在しているだけで閑散としていました。

 

その社長の話によれば、その自動車メーカーは下請け企業の技術やノウハウを手にすると、業績不振を理由に強引な値下げ要求をし始め、それに応じないと発注量を減らしたり、勝手に系列会社に転注したりしたそうです。これはこの会社だけでなく、他の下請け企業も同じような仕打ちを受けたそうで、同じく従業員の数を大幅に減らしたり、廃業した下請け企業も多く出ました。また、高齢や後継者不足を理由に取引を打ち切られた企業もあったそうです。

 

そうやってその自動車メーカーは弱い立場の下請け企業を踏み台にしていまや世界的な企業になったそうです。

 

真偽は分かりませんが、おそらくこの社長のいったことは本当だろうと思います。しかし、資本主義・自由経済主義の本質が弱肉強食である以上、これはある意味仕方がないことかもしれません。その自動車メーカーにすれば国内外のライバル達との熾烈な競争に勝ち残っていかねばならないからです。お気の毒ですが恨み節をいったところで何ら状況は変わりません。

 

力も資金もない中小・零細企業が生き延びるためには汗を流すだけではダメで、知恵を絞る必要があります。

 

先ず、考えられるのは商品やサービスの値引きです。いろんな工夫をして今まで100円で売っていた物を80円で売り出すのです。これは最も効果的で直接的なやりかたです。これで売り上げが倍増すれば値引き以上の儲けが見込めそうです。

 

しかし、そうなるとライバル達も黙っていません。同じような値引きを始めます。ライバル達は100円だったものを70円で売り出しました。

 

これに対抗してコチラも60円、50円…というように、際限のない値引き合戦が行われます。そして値引きのためにはあらゆるコスト節減策が採られます。材料費や流通費などはすでに限界まで削減していますのでついには偽装に手を染めてしまいます。それでも足りなくて最後には従業員の人件費に手をつけることになります。

 

ブラック企業の誕生です。

 

血で血を洗うような過酷な値引き合戦はお互い疲弊を招くだけです。安易に行うべきではありません。

 

それではどうするか。

 

コネや人脈を利用して大企業や役所に食い込む。

 

これは確実でとてもいいやり方です。

 

では、コネも人脈もない者はどうするのか

 

オンリーワンを目指すのです。

 

そのサービスや商品はその会社でしか手に入らない状況を作り出すのです。お客さまの方から、是非その商品を売ってくれ、取引をしてくれ、という状況を作るのです。オンリーワンになればライバルとの価格競争から脱出することができます。価格も自由に設定することができます。なんせ、そのサービスや商品は御社でしか手に入らないのですからお客さまは浮気することはできないのです。

 

そして、そのオンリーワンが技術的なアイデアやインターネットを利用したビジネスモデルであれば、特許等の知的財産権で保護することができます。絵画や小説、音楽のような文化的な産物を利用したビジネスであれば著作権で保護することができます。

 

それでは、どうしたらオンリーワンになれるのか

 

残念ながらそんなことは誰にもわかりません。仮に知っていても誰も教えてくれません。本屋に行けば商売に成功する方法を書いたビジネス本が所狭しと並んでいますが、どこにもそんなことは載っていません。単なる精神論や他人の成功例を紹介しているのに過ぎないのです。大金を払ってセミナーや講習会にいったところで状況は同じです。

 

ですのでオンリーワンになるのはそんなに簡単にいかないでしょう。世の中そんな甘いものではありません。

 

でも、絶対不可能ともいえないはずです。実際オンリーワンのお店や企業が沢山存在していて繁盛しているのがその証拠です。ましてやその世界で何年も生きてきた人であればこそのオンリーワンのアイデアがあるはずです。諦めたら終わりです。難しいといっても当選率が250万分の1の宝くじに当選するよりも遙かに成功する確率は高いはずです。

 

敗者のまま恨み節の人生を送るのか、逆境をバネに最後まで這い上がる努力をするのか。どちらを選択するのも自由ですが後者を選んだ方が苦しいかもしれないけど悔いのない人生が送れると私は思います。

 

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