すみれブログ
パロディと騒音問題
2014年01月8日

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

 

さて、特許権や著作権等の無体財産権の難しいところは、侵害かそうでないかの境界線(権利範囲)が極めて分かり難いということです。

 

動産の場合には実体のあるその物自体、また土地などの不動産の場合はある位置できっちりと線引きすれば明確に境界線を決めることができますが、知的創造物を保護対象とする無体財産権ではこれができません。

それでも特許権の場合は特許請求の範囲といった権利範囲を決定するための基準となるものがあるためいくぶんマシですが、著作権の場合は著作物の完成と同時に発生しますので権利範囲を決める基準というものがありません。

 

しかも、著作権はその著作物と同一のものを作る行為だけでなく、それを改変する行為(同一性保持権や翻案権等)にも及びますので、ますますわかり難くなってきます。

 

例えば、ある有名なドラマのポスター(著作物)を無断で複写(コピー)する行為は、一部例外を除いて許されませんが、そのポスターの人物の顔を他人に変えて風刺的に表現した、いわゆるパロディ作品を作って自分のブログで公表したような場合、これが著作権侵害になるかという問題があります。

 

著作権法の条文上には「パロディ」の定義やそれに相当する規定はありませんので、その他の条文から推測すると、こういったパロディ作品も当然に著作権違反になりそうですが、私はある程度は自由に認めても良い(適法)のではないかと思います。

 

「ある程度」というと、これまたどこまでが「ある程度」なのかという問題が発生して、きりがなのですが、そもそも著作権法というのは、乱暴にいってしまえば、①創作者の人格を保護することと、②著作権者の金儲けを支援することを目的とする制度だと理解しています。

 

「金儲け」というと聞こえは悪いのですが、作家や音楽家等のように優れた芸術的才能を有する人たちが創作活動に専念するためにはそれなりの経済的な支援が必要であり、その経済的支援を一部の金持ちでなく、その著作物を利用する一般の人たちに広く負担して貰おうというのが著作権法の目的の1つです。

 

そうすると、パロディ作品がこの2つの目的のいずれにも反しないものであれば、著作権侵害にならないと解釈するのが妥当であると思います。

 

つまり、そのパロディ作品が、オリジナル作品の創作者の人格を損なうようなものでなく、かつ不当に金儲けを企むようなものでなければ、単なるジョークとして許容して良いのではないかと思います。そして、もしそれでお金儲けができたら、その半分をオリジナル作品の創作者に渡すなどすれば丸く収まるのではないでしょうか。

 

結局のところ、著作権侵害は親告罪ですのでパロディ作品を許すか許さないかは著作権者又は創作者の腹次第となってしまいますが、あまり著作権者側の権利を認めすぎるとなんだか、権利、権利ばかりで、ギスギスした生き難い世の中になってしまいそうです。


いま、うちのマンションで最大の問題となっているのが騒音問題です。ピアノの音がうるさい、夜中に掃除するな、子供が走り回ってうるさい、夜中にドアが閉まる音で目が覚めてしまう、とか…。幸い、我が家はいまのところこの問題には巻き込まれていないのですが、聞くところによると一部警察沙汰にもなっているようです。

 

コンクリート造りのマンションと雖も、上下左右、壁一枚隔てて沢山の人たちが生活しているわけですから、多少の生活音はお互い様と思うのですが、よほどひどいのか、あるいは神経質な人が住んでいるのでしょうか。何年経っても一向に解決の糸が見えないようです。

 

騒音問題の難しいところは、単に音の大小だけでなく、音質やその発生時間、さらには隣近所の人間関係などで大きく感じ方が変わってくるということです。仮に「何時以降は何デシベル以上の音を出してはいけません」というルールを作ったとしても、そういった感じ方に個人差がある以上、意味のない規制になってしまいます。

 

我が家の場合は、隣に老夫婦が住んでおりますが、何の生活音もしないほうが却って不気味です。こういった個人差が大きい感覚的なものは騒音に限らず、臭いや暑さ・寒さなども同じですね。


なぜ、突然騒音問題の話しをしたかというと、著作権侵害というのはある意味、騒音問題と本質的には同じではないかと思ったからです。

 

なるべく他人の著作物は利用しない、なるべく大きな音をたてないでひっそり生きていけば問題も起きないのでしょうが、それはそれで窮屈な生活を余儀なくされそうです。また、自分の作品をパロディ化されても気にしない人もいるし、むしろ宣伝になるからといって喜んでくれる人もいるかもしれません。

 

ですので、敢えて無責任なアドバイスをさせて頂けるのであれば、業者による無断コピーといったような明らかな違法行為や意図的に創作者の人格を損なうような行為ではなく、単なるジョーク程度のパロディであれば気にせずに勝手にどんどん利用してもいいと思います。

 

そして、仮に著作権者などから文句を言われたらその時点ですぱっと辞めればいい。もし急に辞められなかったり、急に辞めると大きな問題が発生するという場合には、予め著作権者から利用許諾をとっておく、というような柔軟な対応でいいのではないかと思います。

 

ちなみに、文化審議会著作権文科会法制度問題小委員会(文化庁長官の諮問機関)のパロディワーキングチームによる報告書でも、結局のところこのパロディについては法制度化することなく、現状の制度で個々に対応するのが良いとの結論に至ったようです(匙を投げた?)。

 

にほんブログ村 経営ブログ 経営者へ