すみれブログ
AIの進歩で弁理士も廃業か!?
2017年11月7日

近年AI(人工頭脳)が凄まじい勢いで進歩しているようで、ニュースによれば近い将来多くの職業がAIによって奪われてしまうとのことです。これは我々士業のような専門知識や経験を駆使する職業も例外でなく弁理士もその業務の殆ど(90%以上?)がAIに代替されるだろうとのことです。

 

今現在これでメシを食っている立場とすれば到底認めたくないのですが、残念ながらおそらくそうなると思います。

 

弁理士業務といってもその内容は様々ですがそのなかでも中心且ついちばん時間と労力を要するのはなんといっても特許出願明細書の作成です。ですがこれでさえもおそらく5~10年以内にはAIに取って代わられるのではないでしょうか。

 

現在日本では年間約25万件の特許出願がありその80%以上は大企業が占めています。こういった大企業の特許出願は一部を除き、その大部分は大手の特許事務所に委託しています。

 

でもAIによる自動特許明細書作成ソフトができればこういった大企業はその殆どを内製することになるでしょう。その結果、外部の弁理士への業務委託量が大幅に減少しますからまず大手の特許事務所では多くの失業者がでます。

 

そうなると大手の特許事務所は生き残りをかけてダンピングやいままで見向きもしなかった中小企業や個人市場にも参入してくるでしょうから、激しい競争の結果、個人事務所の多くは廃業することが予想されます。

 

ちなみにこれは弁理士だけでなく審査する方も同じです。特許庁での先行技術調査や審査もある意味定型業務ですからむしろ弁理士よりも早くAIに取って代われる可能性があります。公務員とて安心していられないのです(といっても先行技術調査は民間業者に委託しているし、審査官の一部は期限付きですからそれほど影響はないのかな…)。

 

私は今から約30年前に消去法的?にこの業界に入ってきました。当時は特許出願件数も右肩上がりでその現象はバブル崩壊の影響も受けないほどの勢いでした。その頃までに弁理士の資格をとった人は大変いい思いをしたようで資格さえ持っていれば食うに困らずどこでも引き手数多でした。

 

伝聞にところによるとまったくのド素人でも弁理士試験に合格すれば年俸600万円からスタートというようなまさにプラチナチケットだったのですね。ただし当時は合格率が1%台でそれはそれは大変難しい試験でしたが…。

 

ところが2008年のリーマンショックをきっかけにそれまでの業界の勢いが止まってしまいました。この時期を潮目にして一気に出願数が減少すると同時に弁理士数が倍増してきたせいで弁理士1人当たりの出願数が激減してしまったのです。さらにここにきてAIの台頭ですからむしろかつてのような明るい未来を期待する方がどうかしています。

 

でも弁理士業といってもその業務は調査や出願業務だけではありませんから、特許制度がある限りそれ以外の業務で生き残ることは可能です。その代表的なものとしては多くの人はいわゆる知財を中心としたコンサルタント業を挙げています。コンサルタント自体は誰でもできますがやはり知財を扱う上では弁理士という資格はまだまだ使えます。日本は肩書き社会ですからね。

 

そして弁理士が行うコンサルタントの対象はやはり中小企業や零細企業が中心となります。大企業は既にしっかりとした法務部がありますからここでは外部の弁理士のコンサルタントの需要はありません。

 

これからは中小企業や零細企業を対象に発明の発掘から調査、出願・権利化、権利化後の知財の活用、訴訟といったトータル的なサービスをまとめて提供できるような弁理士だけが生き残っていけるのではないかと思います。すでに顧問としてこんなことは当然にやっている弁理士もいるでしょうから、そういった弁理士はAIが台頭してきてもそれほど心配は要らないのではないでしょうか。

 

そうなると今後生き残る弁理士には実務能力の他にコミュニケーション能力が必須となります。このコミュニケーション能力だけはおそらく暫くはAIは追いつけないでしょうから、当分の間は弁理士としてやっていけるでしょう。

 

ただ、そこまでして弁理士業にしがみつきたくない思う人はさっさと見切りをつけて別の仕事を見つけるかあるいは経済的な余裕があれば早期リタイアというのも賢い選択ですね。

 

 

にほんブログ村 経営ブログ 経営者へ