平成27年(2015年)4月から受付が始まった新しいタイプの商標のうち、色彩のみからなる商標のその後の審査状況を調べてみました。
結論から言うとかなり厳しいようです。
今日時点で公開になった件数は約350件で、そのうち現在登録になっているのは以下のたった2件。株式会社トンボ鉛筆と株式会社セブンイレブンジャパンだけです。
登録5930334
株式会社トンボ鉛筆
登録5933289
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
その他の出願は殆どが3条1項各号か4条1項第11号、つまり識別性がないあるいは先登録商標と類似するとの理由で拒絶になっています。
たしかに拒絶された商標の殆どは単色あるいは2色の単なる組み合わせですので分からないでもないのですが、鳴り物入りで導入されたわりにはいまのところ結果は芳しくないですね。
個人的には以下の商標は登録を認めていいのではないかと思いますがどうでしょうか。
商願2015-029855
株式会社円谷プロダクション→平29.4.11拒絶査定
商願2015-030414
株式会社三井住友銀行→平28.2.1拒絶理由通知
商願2015-065316
株式会社ドンキホーテホールディングス→平28.10.24拒絶理由通知
商願2015-052594
ダイドーグループホールディングス株式会社→平29.3.13拒絶査定
商願2015-029957
株式会社王将フードサービス→平29.6.9拒絶査定
商願2015-042574
セントラル警備保障株式会社→平28.9.9拒絶理由通知
商願2015-029831
久光製薬株式会社→平29.5.15拒絶査定→平29.8.14不服審判
商願2015-029922
ライオン株式会社→平29.5.26拒絶査定→平29.8.25不服審判
商願2015-036238
東日本旅客鉄道株式会社→平28.9.9拒絶理由通知
拒絶査定不服審判も頻発しているようで、今後審決例や判例を積み重ねることで審査の基準も明確になってくるでしょう。
ちなみに実質的に色彩のみからなる商標であっても文字や図形等を認識させるものは従来から通常の商標として登録が認められています。
登録4734266 (平15.12.19)
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
また、商標審査基準によると、「色彩のみからなる商標である旨の記載があっても、願書に記載した商標及び商標の詳細な説明から、願書に記載した商標が色彩のみからなる商標を構成するものと認められない場合には、本項柱書により商標登録を受けることができる商標に該当しないと判断する」となっていますので、上記の商願2015-029957(株式会社王将フードサービス)や商願2015-036238(東日本旅客鉄道株式会社)は、通常の商標に補正したり出願し直すことで登録が認められるかもしれませんね。