だいぶ前の話ですが、知り合いの弁理士が独立開業したいといって妻に相談したところ大反対されたそうです。
当時勤務していた事務所での待遇は副所長クラスで相当の給料を貰っていたのにいきなり収入ゼロを覚悟しなくてはなりませんから妻の反応としては至極当然です。
事務所側としてもエース級が抜けることは痛手ですので何とか引き留めようとしました。ですが本人の意思が固く結局事務所を退職して独立開業してしまったのです。
独立開業といっても実質的には顧客ゼロの状態からの出発ですので最初は苦労したようですが、本人の努力の甲斐があってなんとか経営を軌道に載せることができたようです。
それから約10年後。彼はなぜか突然事務所を閉鎖して以前勤務していた事務所に勤務弁理士(従業員)として戻ってしまいました。
事務所を閉鎖するときにも妻に責められたそうです。途中で辞めるんだったらなんで始めたのかと。
彼の応えた理由は…、
やってみたかったから。
えっ!
犯罪や不倫ならともかく彼は自分の人生でやりたいことを素直に実行しただけでした。
それ以上、妻も返す言葉はなく渋々承諾してくれたようです。
それから数年後、彼は弁理士登録を抹消してこの業界を去っていきました。
その理由は分かりません。
新しい環境に馴染めなかったのか、それとも別にやりたいことがみつかったのでしょうか。